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終わりなき世界.1 [a2cism]

好きになった女性との初めてのデートで待ち合わせをしている時、

会った時の最初の一言は何にしよう

とか

予約したレストランまでどんな会話をしよう

とか

次の約束はどう取り付けようか

など頭の中はまるで夢と希望で満ちあふれたパラダイスだ。心臓ドキドキの高揚感と期待感でエクスタシーさえ感じる、彼女が現れるまでの数分間に永遠に囚われていたいと思ったりする。時間よ止まれ!というのとは違い、彼女が現れるという事実に永遠に到達しない世界を生きてみたいと感じてしまうのだ。

これを僕はドミナントコード症候群と呼んでいる。

広辞苑やウィキペディアはおろか、Google検索してもそんな言葉は見つからないはず。
なぜなら自分が考えた言葉だから。

学校の挨拶でよくある

起立 - 礼 - 着席

の際に伴奏されるピアノコードは

トニック - ドミナント - トニック

と遷移する。

ではもし最後のトニックが鳴らされず、ドミナントの状態のまま放置されたら・・・

きっとものすごく後味の悪い、すっきりしない、不安で未完成な気持ちにさせられることだろう。

でもそんなきたるべき結末を迎えないというか、真実という着地点にたどりつかない状態で居続けることができたとしたら、人は意外と健やかでハッピーなのではないかと最近感じてしまう。
もちろんそんな世界はあるわけがなく、良くも悪くも、時には非情にも現実は訪れてしまうのであるが。
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